疏水サミットinいしかわ2007

<用水が織りなす水と人の環>

              

 

一 はじめに

 昨年11月5、6日の両日に渡り「疏水サミットinいしかわ2007〜用水が織りなす水と人の環〜」が開催されました。 疏水サミット開催を契機に一般市民と共に用水の過去、現在を学び、将来にわたり用水を守り育てる活動が継続するように運動を「いしかわの用水と水土里のフォーラム」と名付け展開してきました。これにより、疏水サミットは単なる大会開催でなく継続的な運動の集大成となりました。このフォーラム運動から疏水サミット開催に至る一連の活動を報告します。

二 いしかわの用水と水土里のフォーラム運動

 フォーラム運動は、図で示す様々な団体が協力して、市民講座、疏水探訪サイクリング、石川の用水50選、いしかわの用水フォトコンテスト等を行いました。この中で、疏水サミット開催を契機に新たに取り組んだ活動を主に記述して行きます。

 

1)疏水サミットへのいざない

  〜疏水サミットにむけた「いしかわの用水と水土里のフォーラム」〜

 「いしかわの用水と水土里のフォーラム運動」が開始されるにあたり、一般市民を交えた参加者約60名がフォーラム運動に対する理念、期待、思いなどを語り合いました。

  開催日時:平成6月30日 13:00〜13:30

  開催場所:石川県文教会館 202会議室

  参 加 者:「いしかわの用水と水土里のフォーラム」運動参加者

  座  長:石川県立大学 高橋強 教授

  語 る 人:長町武家屋敷界隈を愛する会 青木誠治 氏

       金沢市観光協会 観光ボランティアガイドまいどさん  大洞謙一郎 氏

       地球の友・金沢 三国成子 氏

       手取川七ヶ用水土地改良区 安実隆直 氏

2)市民講座

  〜加賀の用水が織りなす水と人の環〜 

 

 北陸農政局は石川県と連携し、「疏水サミットinいしかわ2007」に向け、疏水や水土里について段階的に理解を深める取り組みの一つとして、疏水を「歴史・文化」、「農業・地域振興」、「環境・景観」、「地域コミュニティの形成」の四つの視点から考察する市民講座を開催しました。

                              

第1回 市民講座「城下町金沢と用水」

 座長 県立大学 高橋強教授

 講師 水土里ネット加賀辰巳用水参事 畦地実 氏

    金沢市用水・惣構堀保全室長 野口広好 氏

    

農民たちのつるはしの痕(水土里ネット加賀辰巳用水 参事 畦地実 氏)

 辰巳用水は、高台にある金沢城へ、逆サイホンの技術を用いて水を引いているほか、延長11kmの内、トンネルが4.6kmと半分近くがトンネルとなっている。勾配は、取入れ口(標高100m)から兼六園(標高53m)まで標高差が47mしかなく、計算すると勾配は4.5/1000程度しかないこととなる。江戸時代の土木技術の高さが示されている。

 辰巳用水は、当然のことながら農業用水であるが、農地転用により昭和21年には83haあった受益面積は現在21haと大幅に減少している。このように、大幅な農地の減少により賦課金も大幅に減少しており、農家だけでの維持管理が困難になってきている。

 特に最近は、人口の9割を占める非農家の方に農業用水の重要性を理解してもらい、維持管理の面においても協力してもらおうという流れになってきている。

 辰巳用水は郷土の文化財的用水であり、ますますきれいな水を流して、後生に残していきたいと頑張っているので、今後とも皆さんにも協力いただきたいと思っている。

 

用水のまち金沢の魅力(金沢市用水・惣構堀保全室 室長 野口広好 氏)

 人々の暮らしを支えるライフラインというべき用水であったが、高度成長の時代になると用水環境も大きく変化してきた。その環境の変化としては、@水質の悪化、A無秩序な暗渠化、B暗渠化による管理・清掃の障害、C用水景観の悪化、消雪用水、防火用水としての機能低下、D心ない人々によるゴミの投げ入れなど、次第に都市空間におけるその存在価値、用水機能の低下といった事態に発展してきた。

 金沢市は、自然環境や生活環境と調和した用水の保存、復元及び創出を図るとともに、潤いある風情を市民と共に守り、貴重な財産として次の世代に引き継ぐことを目的として、平成8年に全国初の「金沢市用水保存条例」を制定・施行した。

 地域の環境を育んでいる用水、その水の流れをさらに活かしていくことで、より美しい街づくりに繋げていけるのではないか。

 そこには行政の方々だけでなく、一般市民一人一人の意識を高めていくことが必要ではないかと思っている。

 

第2回 市民講座「水を涵養する白山」

 座長:村島県立大学教授

 講師:キリンビール北陸工場長 浅野秀明 氏

    水土里ネット七ヶ用水総務課長 安実隆直 氏

    水土里ネットみやたけ総代 谷口齊 氏

   

白山がもたらす豊かな恵み(キリンビール北陸工場長 浅野秀明 氏

 北陸工場の特徴的な製品として、水そのものを売りとしてアルカリイオンの水を製造している。手取川の扇状地は、水量と地域とのバランスでいえば、水がやや豊富な状態であり、非常に恵まれている。キリンビール北陸工場は、森林保全活動にも取り組んでいるが、これは、森林に降った降雨が、森林の土壌に染みこみ多くの栄養素を取り込み、地下水となって土の中で濾過されているからである。水田は非常に大切な財産。単にお米をとるだけではなく、田んぼはダムとして機能しており、農村は文化を守り伝えている。

 信頼される企業グループとして、CSRという考え方をとっている。環境に対する活動は、すでに企業の広報として行うものではなく、企業の責務の一つであると考えている。

 

悠久の大地を潤す七ヶ用水の恵み(水土里ネット七ヶ用水総務課長 安実隆直 氏

 霊峰白山を源とし、流れ出る「手取川」は古来より暴れ川と言われ、氾濫を繰り返しながら「七たび水路を変えた」と伝承され、現在の位置へと移り変わる間に日本でも代表的な扇状地を形成した

 その本流跡に、分流としてできた、「七つの用水」は、七ヶ用水と呼ばれるようになった。七ヶ用水のまわりに村ができ、田畑を潤し、作物を育て、そして収穫を喜ぶ、そんな暮らしが、営々と続いてきたと思われる。しかし、その歴史は水との戦いでもあった。手取川の氾濫や干ばつに対し、農民達は知恵を出し、乗り越えてきた。

 水は万物を育む命であり、大きな力である。白山の雪解けによる一滴一滴が手取川に注がれ大河となり、その恵みを頂いて田畑を耕し、実りの秋を迎えるという営みを繰り返している。同時に、人々の生活に密着した多様な役割を担っている。そのことを地域の皆さんに、当たり前のことではないということを理解していただき、これからも白山の貴重な「命の水」を頂きながら暮らしができる喜びと感謝の心を持ってもらえるよう、用水管理者として日々邁進して参りたい。

 

我田引水の歴史(水土里ネットみやたけ総代 谷口齊 氏

 宮竹用水にまつわる水争いの話は数多くあり、上流の農民と下流の農民との争い、用水分岐点での水の取り合い、そして、とりわけ激しく争った歴史は、対岸の七ヶ用水との争いである。

 宮竹用水と七ヶ用水の手取川両岸の用水争いは、明治の大改修によりそれぞれが取水口を一つにしたことからいっそう激しいものとなった。行政の指導により協定を結ぶこととなったが、当時の政治情勢を反映し、宮竹用水にとっては不承不承ながら承伏せざるを得ないものだった。積年の憤懣が爆発したのが、昭和37年8月3日。宮竹側農民100名足らずが、決起し、「水門をぶち壊しに行くぞ」と七ヶ用水の安久濤(あくど)の森の水門へと向かった。七ヶ用水の水を宮竹へ持って行こうという暴挙に出たのである。警察、七ヶ用水、宮竹と三者入り乱れての激しいやりとりは深夜にまで及んだが、結局、代表者同士の交渉により、水門を30cm開けることで決着した。これらの出来事は、決して七ヶ用水が悪いとか宮竹用水が悪いといったものではなく、農民は水に対して、命がけで向かいあってきたということである。このような水との苦しい戦いの歴史は決して忘れてはいけないと思っている。

 現在は、ダムができたことにより、水は確保され、不安はなくなっている。さらに、豊富で安定した水量があることから、落差を利用して上郷小発電所が作られ、発電に利用されるまでに至っている。

 

第3回市民講座「用水に育まれる生きもの」

 講師:石川県ふれあい昆虫館副館長 富沢章 氏

    石川県立大学教授 上田哲行 氏

 

ため池と水路の生き物

 昔の水田であれば、湿田で、農薬は少なく、土の水路との連続性が保たれていたが、今の水田は、乾田化され、パイプライン化、コンクリート化された水田で、川から排水路、排水路から水田への連続性はほとんど絶たれてしまった。稲作技術においても、農薬を使用し、湛水期間が非常に短くなっている。水田の生産性は大幅に向上したが、昔のように水田に昆虫が住める状況ではなくなり、生き物にとっては過酷な状況となってきた。

 水路の保全としては、これまで農業用水路としての機能が最優先されてきた。経済性、効率性を優先させる考え方は致し方なかった面もあるが、これからは、多様な生き物が住めるよう水系の連続性の確保、土水路、石積水路の復活などが必要である。

 

用水と生きもの、そして人( 石川県立大学教授 上田哲行 氏

 農業用水路の生物多様性に関わる技術的な問題の前に、生き物と人としての関わりについての問題がある。以前、調査で水路沿線に住む住民に対し、水路に対するイメージなどのアンケートをとったことがあるが、その中で熊田川にしろ七ヶ用水にしろ昔は水はきれいなもので宝であったとの思いが伝わってくる。

 子供たちのために生き物を守るという考えは、多くの方の理解が得られる。環境配慮事業は多く実施されてきているが、自分たちのために事業に取り組むということではなく、我々が体験した自然環境を次の世代によりよい形で引き継ぐという視点があるのではないだろうか。最近、農林水産省で取り組み始めた、地域資源という考え方は、水路や堰などの構造物だけではなく、生き物や環境、地域文化も含めた考えであり、今後、ますます重要となると思われる。

 

第4回市民講座「命きらめく里山の水と人」

 座長 県立大学 高橋強教授

 講師 金沢大学地域連携コーディネーター 宇野文夫 氏

    羽咋市1.5次産業振興室総括主幹 高野誠鮮 氏

    

トキが舞う里山の再生

 小泉総理が奥能登の千枚田を視察した際、「絶景だ」との言葉を残しているが、絶景として見えていた部分は眼下の約4ha程度であり、その周囲には約10haの耕作放棄地が存在する。奥能登の里山保全に対する取り組みでは、奥能登が活性化し、地域再生には直接結びにくいと思われる。そのため、その先に、トキが再び舞う能登半島というビジョンを描いた。今、奥能登の「里山ルネサンス(復興)構想」を描いている。トキと共生する環境再生戦略である。まず第1ステージとして、「里山マイスター」という地域の核となる環境配慮型農業を展開する人材を養成する。第2ステージとして、いしかわ動物園が進めている佐渡のトキの分散化計画、人工繁殖、野生化計画と連動する。第3ステージとして、「トキが舞う能登」というブランド化戦略を構築する。能登半島にトキが舞うことによって、地域のイメージアップに繋がり、新たな観光資源となりうる。そして何より、若者たちが呼び込めるビジネスチャンスをつくりだすことができる。

 

山の清水を活かして米づくり(羽咋市1.5次産業振興室総括主幹 高野誠鮮 氏

 羽咋市神子原地区は、15年間で人口が半減し、羽咋市内で最も高齢化率が高い地区である。このような状況であるが、神子原地区には有利な環境要因もある。農業用水は、生活排水や公共排水が流入せず、飲めるような山の清水を用いて米を作っている。この清水によって作られるおいしいお米をブランド化して、農業所得の向上を図り、農業後継者の育成、地域活性化などを目指した。

 しかし、「ブランド」と認めるのは生産者でもなく、業者でもなく、消費者である。我々は、人的影響力の大きい人物に神子原米を食べて頂くという戦略を立てローマ教皇に召し上がって頂くため、連絡を取り、神子原米を献上することに成功した。これがきっかけとなり、1俵14,000円だったお米は、1俵42,000円になり、サラリーマンの平均年収に104俵で達成できるようになった。少子高齢化が進んでいると嘆く地域はダメであり、地域の資源を活かして、将来の農村を熱く語れる集落づくりをすべきである。

 

 

 

3)疏水探訪サイクリング

趣旨

 疏水サミット開催に伴い、県内の様々な団体が広く県民と共に用水について学ぶ「い しかわの用水と水土里のフォーラム運動」が実施されました。疏水探訪サイクリングについては、そのうち「市民団体」が主催したイベントであり、「りんりんクラブ」という自転車サークルの皆様とNPO法人である「地球の友金沢」の皆様により、3回にわたって用水沿いをサイクリングし、用水を身近に感じながらその歴史や役割について学んでまいりました。

 

辰巳用水(6月23日)

第1回目は、疏水百選に選ばれた用水の一つで、石川県を代表する歴史ある用水である辰巳用水です。本多の森公園をスタートとし、辰巳用水の取り入れ口まで約11kmの行程でサイクリングを行いました。

 スタート地点及び途中の数ポイントで、辰巳用水土地改良区の畦地参事により、用水について説明を受けました。畦地参事のわかりやすい説明もあり、参加者の皆さんは積極的に耳を傾け、質問もかなりでていました。辰巳用水は兼六園周辺の美しい親水区間や、遊歩道沿いの自然豊かな区間など見所も多く、皆様は大変満足していおりました。

 

南邑知地溝帯(7月21日)

第2回目については、宝達志水町のネクサスをスタート地点とし、邑知潟周辺の用水施設を巡る全長約25kmのコースで行いました。当日はあいにくの雨で、ゆっくりと用水を眺めながらとはいきませんでしたが、羽咋川防潮水門管理事務所での邑知潟の管理体制についての説明については、皆さん熱心に聞いており、管理システムが設置されている室内を興味深く見学しておりました。

 完全な余談ですが、サイクリングの後は宝達志水町の「くずの里」という民宿において、BBQや鯛しゃぶ、軍鶏鍋で疲れを癒しました。


 

七ヶ用水(9月22日)

 第3回目は、県内最大規模の延長を誇る手取川七ヶ用水です。今回のサイクリングは、用水探訪に加えエコサイクルや自然エネルギーの活用をテーマとし、スタート地点の七ヶ用水白山管理センターまで北陸鉄道のサイクルトレインを利用することで、自動車の使用を減らし、また七ヶ用水の小水力発電所を見学して自然エネルギーについて学びました。

 ゴール地点のNPO法人加賀白山ようござったでは、昼食を食べながら事務局長の辻氏による七ヶ用水を含む白山麓の歴史や観光について講義いただきました。有意義な時間でありましたが、唯一つそばがでてくるのが遅かったことだけが残念です。

  

疏水サイクリングを行って

3回の疏水を巡るサイクリングを実施し、数多くの皆様にご参加いただきました。やはり、車や公共交通機関を使用するのとは違い、直接その場の空気を吸いながら巡るというのはいいものです。そして、用水とサイクリングによる人の環を構築することもでき、大変有意義なものでありました。

 

 

4)石川の用水50選

 趣旨

   石川県には、疏水百選に認定された6つの用水(辰巳用水、大野庄用水、鞍月用水、  長坂用水、手取川七ヶ用水、宮竹用水)をはじめ、地域への貢献度や歴史・文化的価  値の高い用水が数多くあります。

   今年度石川県にて開催された「疏水サミット」に伴い、県民の皆様に身近な用水に関心を持ってもらうべく、県内各地にある用水から「いしかわの用水50選」を認定することとしました。

 

 認定までの流れ

   50選の認定については、県内各市町より推薦されたものを県が認定するといった流れで行いました。選定の基準は下記の4つの視点に基づいて行いました。

   ・農業・地域振興に貢献。

   ・歴史的・文化的な施設を有する。地域の伝統的儀式・習慣が残っている。

   ・生態系豊かなもの。用水のある農村景観の美しいもの。

   ・地域の日常生活に欠かせないもの。地域ぐるみで保全活動が行われているもの    

 認定について

   最終的に県内各地から57用水が認定されました(次頁参照)。これらの用水は

  10月6日に北國会館にて行われた市民ゼミの前に、活動報告というかたちで発表させていただきました。又、疏水サミット本大会に先立ち、同会場にて県内の代表4用水(加賀三湖、河原市用水、八ヶ用水、珠洲市のため池群)の管理者の皆様に対し、認定式を行いました。

 

 今後について

   50選については、疏水サミットが終了したことで終わりというのではなく、疏水

  サミットを一つの通過点として、今後さらに県民の皆様に用水の保全・継承の意識を高めてもらうべく、様々なかたちで利用していこうと考えております。

 

 

 

 

石川の用水50選

5)いしかわの用水フォトコンテスト

 趣旨

   毎年、当課及び石川県土地改良事業団体連合会主催で、農山村の景観・伝統文化を

  対象とした「石川の農山村景観コンクール」と題した写真コンクールを実施してきま  した。

 今年度は、農業用水の保全啓発・継承をテーマとした全国的なイベントである「疏水サミット」が石川県で開催されることから、対象を農業用水に絞った「いしかわの用水フォトコンテスト」として実施することにより、広く県民に対して農業用水のPRを図りました。

 

応募状況

   多くの方の参加・応募を期待し、県内の100組織(市町、農協、改良区等)及び410校、さらに各写真連盟に募集をかけ、万全の体制で臨みました。

   が、応募締切まであと半月という段階で応募者はたったの4名。入賞者は全部で

   10名を予定していたのに・・・、募集時の苦労はなんだったのかと少々悲しくなりました。しかし、募集締切間近になってどしどし応募がきたことと、当技術連盟会員  の皆様の多大なるご協力もあり、最終的には57名、168作品の応募をいただくことができ、胸をなでおろした次第であります。応募いただいた皆様大変ありがとうございました。

 

審査

   入賞作品の選者として、石川県出身の写真家織作峰子様にお願いしました。大変高名な方で、疏水サミット本会議でもパネラーとしてお越しいただいております。

   審査はまず、農林水産部内において一次審査を行い、入賞作品の絞込みを行いまし  た。ここで約1/3まで絞込み、東京の織作事務所へと持っていきました。作品名簿の職業欄にやたら「地方公務員」が目立っていましたが・・・

   審査期間として約1週間見込んでいましたが、織作氏は持参していったその場ですべての入賞作品を選ばれました。一目見ただけでご判断でき、さらにその作品一つ一つに対しコメントまで述べられました。さすがですね。

   入賞作品はこの冊子の表紙裏に添付されております。

 

表彰式

   入賞者に対する表彰式は、「石川の農林漁業まつり」会場で行い、その作品も同会  場にて展示させていただきました。入賞者には賞状と図書カード、そして副賞として  輪島市門前町産の「能登がんばる米」を贈呈させていただきました。かなり豪華な賞  品です。来年度はまた農山村を対象としたかたちで実施する予定としております。ぜ  ひ、(こちらから出してくれとお願いする前に)たくさんの応募をよろしくお願いします。  

 



 

 

 

6)疏水サミットinいしかわ2007

 石川県立音楽堂で開催したサミット本会議は、基調講演の他、「石川の用水について事例発表」をもとにフォーラムを行いました。

 また、サミット会場のロビーでは、関係団体の疏水サミットへむけた「いしかわの用水と水土里のフォーラム」の多様な取組が展示され、一般参加も含む720名以上の参加者でにぎわいました。

 

 <「いしかわの用水と水土里のフォーラム」の展示>  

 

 基調講演では、石川県立大学の丸山利輔学長が「分子レベルから太陽系レベルまで」の標題のもとに、水分子の特性から太陽系のなかでの水の存在の偶然性を説き、水は生物を育てること、物質の運搬に大きな役割を果たすこと、環境を形成することなど、水の持つ大きな役割を説明された。                <基調講演>

 具体的には、「世界の水田灌漑の事例、水田の水質浄化や気候緩和、森林と水と漁業との関係などを説明され、水循環は広い範囲でバランスを取ることは難しく、水を流域や地域のスケールにあわせて改めて見直してはどうか」と提言され「水と土をつないで農業土木に役立ててきた我々の水土の知に誇りと自信を持とう」と呼びかけました。

 

 
 続くフォーラムでは石川の用水について、歴史、農業、環境、景観の4つの観点から事例が発表されました。

城下町金沢の用水

 金沢市歴史遺産保存部長 岡田宜之氏は、金沢の用水について城下町建設の歴史を踏まえ説明するとともに、低下した用水機能の回復と街中に風情を取り戻し、後世に引き継ぐことを目的に制定された「用水保全条例」の取り組みを説明しました。最後に、用水が農業用水として利用されることが一番の目的であるが、町の人たちにとって非常に大事な景観の要素となっていること、歴史的な価値を守る観点からも、用水を守り、活用していきたいと発言されました。

七ヶ用水の恵みで潤う手取川扇状地

 農業生産法人ヤマジマ代表取締役 島崎貢氏は手取川七ヶ用水が作られた歴史背景をひもとき、実際に農業をされているなかで用水の大切さを説明しました。また、用水が持つ多面的機能を凝縮した「川の駅」の考えなど用水の新しいカタチを提案され、グランドカバーやせせらぎ水路整備等を通じた水辺づくりなどの取り組みを通じて後世に用水を引き継いでいきたいと発言されました。

生物多様性の宝庫、奥能登の里山と用水

 金沢大学教授 中村浩二氏は石川の里山の現状を説明され、珠洲市のため池を例示し、同大学が進める奥能登地域の活性化プログラムの説明を通じ、そこに棲むいき物やため池を守る活動などを紹介されました。また、環境配慮型の農業・林業を中心とした地域おこしを進めるために、地域住民の合意形成とこうした自然環境を良くする活動が大切と発言されました。

 

水面(みなも)と農村風景

 写真家 織作峰子氏は、2006年の疏水のある風景写真コンテストの入賞作品を例示し、実際に用水が流れているだけでなく、人の手を加えて常に管理されていることで、美しく保たれていることを発言されました。また、海外を取材するに当たり、自分たちの国で自給を行っている国は生き生きしており、日本は食生活を見直すなどを行っていくべきではないかと提言されました。

 

 この後、コーディネーターの東京大学大学院教授 林良博氏は事例発表の論点整理や会場を交えた議論を行い、参加者に対し「今回のフォーラムの成果を持ち帰り、疏水の保全活動に活かしていただきたい。」と訴えた。

  <フォーラムの状況>

 

 

 

 

 

 参加した一般市民からは「非常に興味深い内容で、参加できて良かったです。」などの言葉を数多くかけて頂いたことで、これまで疏水サミット開催に向けて展開してきた「いしかわの用水と水土里フォーラム運動」が集大成したと実感しました。

 翌日に行われた現地研修は、「金沢市民が出迎える疏水散歩巡り」と「金沢疏水群と手取川疏水群バスツアー」2コースに250名余りが参加して、石川県の用水について学びました。

 <金沢市民が出迎える疏水散歩巡り>    

 

 

 

 

 

 

 

 





三 おわりに

 疏水サミットは閉会しましたが、疏水サミット開催に向けて取り組んだ「いしかわの用水と水土里フォーラム運動」は、今回の大会テーマである「用水が織りなす水と人の環」のもと、多数の賛同者を得てきました。今後もこの人の繋がりをより強く、より広く発展するように活動して行くため、賛同者の方々と幅広く連携がとれる関係を構築する方策を考えて行く必要があります。疏水サミット開催によって得られた最大の財産はこの人の繋がりですので、これからも農村地域振興に対し様々な局面で関係を持つことが重要です。

 このため、私たちは、疏水サミットの閉会が、活動の始まりと認識して将来につなげて行きたいと考えています。